2011年12月14日水曜日

クリスマスに贈りたい絵本『もじゃもじゃペーター』





1844年、クリスマスの一週間ほど前、医者のハインリッヒ・ホフマン
(Heinrich Hoffmann 1809-1894 ドイツ)は
3歳の息子に贈りたい絵本を本屋でみつけることができず、
かわりに1冊にノートを買い、自分で絵を描き詩をそえて絵本をつくりました。
息子は大喜びし、その後友人の勧めで出版したところたちまち人気となり版を重ね
各国語に訳され大成功を収めました。

これは「3歳から6歳の子どものためのおもしろい話とおかしな絵」と副題をうった絵本
『もじゃもじゃペーター』が生まれた有名なエピソードです。

もともと診療時にむずがる子をなだめるために話をしたり絵を描いたりするのが
得意だったそう。

『もじゃもじゃペーター』はすべてのお話が毒入り。
「とてもかなしい ひあそびのおはなし」とか「ゆびしゃぶりこぞうのおはなし」とか
残虐ではあるのですが、どこかちょっと笑えてしまうというか。
悪いことするとこうなるんだよと真面目な顔でオモシロ恐ろしい絵で諭す。
いつの時代も、子どもってこういう突飛で不条理でコワイお話が好きなんだなあ。


お話だけじゃなく、絵もすごく惹かれます。
いかにもドイツ人が描きましたという生真面目さと繊細さが。
緻密なんだけどどこかゆるい、どこかヘタウマっぽくもある
絶妙なタッチの絵がなんともいえない魅力を放っています。

情操教育を念頭に描かれた絵本ですが、子どもだけではなく、大人も魅了されてしまう
すてきな絵本です。


フラクトゥール(亀の子文字…なんて読みにくい)が美しい、1956年発行のヴィンテージ本。
小さめの本で(文庫本よりちょっと大きい)、紙の手触りもよし。
挿絵はホフマン自身が描いたものを再現しているようです。
何度眺めても美しい本。



 






















































































































和訳もいろいろ出ています。
(絵が微妙に違います)


























こちらはクリスマスをテーマにした絵本『くるみ割り王とあわれなラインホルト』。
貧しい子や病気の子にもクリスマスのワクワクする喜びを与えてくれる
心あたたまるお話です。

テーブルの上に飾られたクリスマスツリーにはキャンドルが灯され
ツリーの足下にはさまざまな贈り物が並べられており
19世紀中頃の飾り方が垣間みれます。
質素な生活に堅牢なストーブが目を引きます。
猫にはミルク、ネズミにはお菓子が。


























ホフマンが生まれ育ったフランクフルトにあるシュトルッヴェルペーター博物館
顔ハメ看板も。